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HOME > Q&A > 情報検索ガイド > アイヌ関係の昔の法令を調べたい

こんなときは

人物の足跡や関係する資料について知りたい

  

 研究センターへの問合わせで、比較的多く寄せられているのが、アイヌの歴史や現状に関する資料や情報を求めるものです。

 今回は、それらの中でも、関係する法令(国や道が制定した、法律、勅令、政令、条例、道庁令、規則など)にはどのようなものがあるか、法令の条文や、制定・改正・廃止などの歴史はどのようにして調べることができるか、といったことがらについて述べてみたいと思います。

区切り点

 近年はインターネットを通じた情報提供が様々な分野で目覚ましい勢いで整備されていますが、法令についても、一昔前と比べると、パソコンを使って検索し入手できる情報は格段に増えてきました。

 例えば、国立国会図書館がインターネットホームページ上で開設している「日本法令索引」(http://hourei.ndl.go.jp/SearchSys/index.jsp)を使うと、現行の法律及び政令・省令等のほか、過去に廃止・失効となった法律・制令についても、キーワードによって検索し、その正式名称、制定年月日や条文の内容を知ることができます。例えば、1898(明治31)年に制定され、1997(平成9)年に至ってようやく廃止された「北海道旧土人保護法」についても、この索引を使えば制定当時の条文はもとより、その後廃止されるまでの数度の改正による条文の変化を追うことができます。また、同館インターネットを通して提供している調べもののための情報ガイドである「リサーチ・ナビ」の中の「日本-法令資料」(http://rnavi.ndl.go.jp/politics/entry/Japan-horei.php)では、上記の「日本法令索引」以外にも、法令に関する様々な検索方法が紹介されています。

 北海道の条例・規則についても、北海道のホームページのうち総務部法制文書課行政情報センターが設けている「北海道例規類集データベース・サービス」というページ(http://www.reiki.pref.hokkaido.jp/)で、現行の道の条例・規則を調べることができます。

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 これらに比べて、戦前までの北海道の令規、すなわち明治初期に北海道を管轄した開拓使、その後に北海道に置かれた函館・札幌・根室の三県、そして北海道庁の定めた令規類にはどのようなものがあったのかについて詳しく調べようとすると、今なおそう簡単ではありません。

 このような中で、昔のアイヌ関係の法令を調べるときに多く用いられるのは、河野本道編『対アイヌ政策法規類集』(北海道出版企画センター、1981年。以下『法規類集』)です。これには、明治の初年から1970年代までの法律、省令、北海道庁令などが、「開拓使時代関係分」「北海道庁時代関係分」「旭川関係分」など時代別・地域別に収録されています。掲載されている法令は約250件で、現在でもこれに匹敵する同種の資料集は他に見られません。

 ただし、それでもなお収録されていない法令も少なくありません。例えば、明治初期に北海道を開拓使が管轄していた時代は、アイヌの伝統的な生活基盤に大きく関わる布達(ふたつ)や達(たっし)が多く発せられていますが、『法規類集』は、『開拓使事業報告附録布令類聚』(大蔵省、1885年)という本に収録されたものしか掲載していません。また、法令では、その表題などを見る限りは特に関係なさそうでも、条文を見ていくと関連する部分がある、という場合もけっこう多いのですが、こうしたものはあまり掲載されていません。もっとも、これはひとり『法規類集』の不備というよりも、明治以降のアイヌの歴史に関する調査研究において、関係する法令をきちんと調べていくという基礎的作業が今なお途上にある、ということだと思います。

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 それでも、近年、このような課題の克服につながるような、綿密な調査に基づく研究論文もいくつか見られます。また、道立文書館では、北海道庁設置(1886年)以後の道庁の令規をまとめた資料集を順次刊行し、『北海道庁例規目録 明治十九年~二十九年』(北海道立文書館史料集23、2008年)のように、比較的長い期間の令規を通覧できるものもまとめられています。同館のホームページ(http://www.pref.hokkaido.lg.jp/sm/mnj/)では、開拓使の文書を、個々の文書の件名で検索できるサービスも開始されました。

 学習・研究のための情報サービスの整備、という基礎的な仕事が徐々に蓄積されつつある中で、当研究センターとしても、このような情報や資料を収集し、整理し提供していけるよう努めたいと考えています。


 また近年は、法令の条文ばかりでなく、制度や施策が成立するまでの審議会や制定過程に関する文書などの整理や公開も進められつつあります。このような情報の検索については、また機会を改めて紹介したいと思います。


※この記事の中で紹介しているホームページのURLは、2011年2月末現在のものです。最新の状況についてはその都度各機関のホームページや検索エンジンで確認してください。
(研究職員 小川正人)



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