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〔山田秀三文庫の資料から〕
青森県東通(ひがしどおり)村の「尻労(しつかり)」と 長万部(おしゃまんべ)町の「静狩(しずかり)」
(『東北と北海道のアイヌ語地名考』の図版原稿:資料番号[YM1147])
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上中の地図2点は、山田秀三『東北と北海道のアイヌ語地名考』(1957年)の16、17ページ
(『アイヌ語地名の研究 山田秀三著作集 第3巻』にも再録。24、25ページ)に掲載されている図の原稿。
いずれも山田秀三による自筆の地図である。『東北と北海道のアイヌ語地名考』には、当時の静狩の写真や、
尻労のスケッチ(下)も併せて掲載されている。
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尻労(しつかり)の意味
「下北半島は尻屋崎の突角から、太平洋岸を少し南に下った所に「尻労(シツカリ)」という土地がある。
〔中略〕十年ばかり前に、北海道の静狩(シズカリ)金山(現在は廃山)に気がついた。大変音が似ている。
〔中略〕シリ(sir「地面、土地、山」)ト°〔=トゥ〕カリ(tukari「…の手前」)すなわち「山の手前」の意味で、
発音上は前語の語尾のrが、後のtに引きつけられてtに転訛するのが、アイヌ語の常則だそうである。
静狩は噴火湾岸で長万部(オシャマンベ)のすぐ北である。南の八雲辺から長い長い砂浜の土地が静狩迄来て、ついに礼文(レブン)の山塊に突当り、
それから先は浜伝いができない。ただ「山の手前」ならどこにでもありそうなはずだが、特に「山の手前(シッツカリ)」と名がついたのは、
こうした特別の地形が注意を引いたからであろう。」 「左右の地図は同じ縮尺で、地形は五万分図から要点を写したものである
〔中略〕地名を入れないで出されたらば取り違えそうな地図で、その同じ地形の場所に、北海道側にも本州側にも、
酷似した発音の地形が存在しているのである。」(山田秀三「東北と北海道のアイヌ語地名考」より) |
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