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今回は、アイヌの伝統的な楽器の中から、「ムックリ」について紹介します。
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皆さんは、ムックリの音を聴いたことがありますか?
「観光地で聴いた」「学校で少しだけ教わった」という方もいるかもしれませんね。
まずは、
ここをクリックして、
実際の演奏を聴いてみてください。
白糠の四宅(したく)ヤエさんによる演奏です。
(センター資料YC800027より)
いかがでしょうか。びよ~んという独特の音色が印象的ですね。
ムックリの音はどのようにして鳴り、
さまざまに変化する音色はどうすれば出せるのでしょうか。
ムックリは、枠に囲まれた細長い切り出しの部分を振動させ、
その振動音を自分の口の中の空間に響かせる、
「口琴(こうきん)」と呼ばれる楽器の一種です。
口の中の空間の大きさを変えたり、
息を吸ったり吹いたりすることによって、
さまざまな音色を作り出しているのです。
音程のはっきりしたメロディーを奏でることもできますが、
アイヌの伝統的な演奏のなかでは、
むしろ音色そのものの変化とその即興的な組み合わせを味わう、
といった形で楽しまれてきたようです。
では、ムックリは、どんな時に鳴らしたのでしょう。
アイヌの伝統的な暮らしの中では、あらたまった儀式で演奏される、
というものではなく、日常的、私的な暮らしの場面で奏でていた、
と言われています。近年は、アイヌ文化の継承・復興へ向けた動きの中で、
アイヌ文化関係のイベントや行事の際に演奏されることも増えてきています。
ムックリのような口琴は、
他の地域や民族にも見られるのでしょうか。
口琴は、世界各地の民族に、いろいろな名前で、
さまざまな材料や形のものが伝えられています。
アイヌのムックリも、北海道の比較的多くの地域で知られているのは竹製ですが、
樺太(サハリン)のアイヌには金属製の口琴が伝えられていたことがわかっています。
アイヌの伝統的な楽器には、
ムックリのほか、五弦琴(ごげんきん)や太鼓などがあります。
これらのさまざまなアイヌの楽器についても、
追ってこのコラムでご紹介したいと思います。
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