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こんにちは。北海道立アイヌ民族文化研究センターです。
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秋は、アイヌの伝統的な儀式や行事が、道内各地で相次いで開催されます。
そこで、前回に引き続きアイヌの伝統的な信仰について取り上げ、
今回はアイヌの伝統的な儀式についてご紹介します。
アイヌの伝統的な信仰では、カムイへの頼みごとやお礼など、
人間からカムイに伝えたいことがあるときに、
カムイに対するお祈りを行います。
これらの祈りは、ちょっとした頼みごとから、
集落全体の安全を祈るようなものまで、さまざまな形で行われます。
祈りを行う機会や時期にも、
日常の暮らしのいろいろな場面で行うもの、
家を建てるときなどのように特別なことがらの際に行うもの、
豊漁の祈願や感謝のように一年の中である程度決まった時期に行うものがあります。
祈りを行う場所は、どのようなときに、
どのカムイに、どのようなことを祈るかによって異なります。
ふだんの暮らしの中での祈りは、家の中の炉端などで行う場合が多いのですが、
重要な儀式のときには、家から少し離れた場所に設けた祭壇に行き、
祭るカムイに新しい木幣(もくへい:前回のこのコラムで紹介した、
いっぱんに「イナウ」と呼ばれるものです)を捧げて祈ります。
近年、アイヌの人々自身によるアイヌ文化の継承・復興の動きの中で、
アイヌの伝統的な信仰や儀礼を学び、実践しようとする取り組みが、
各地で見られます。
例えば、サケの漁期が始まる前に、その年が豊漁になることを祈る儀式や、
漁期の終わり頃に豊漁だったことを感謝する儀式は、
伝統的なサケ漁の学習や復興などの目的も兼ねて、登別市や千歳市などで、
昔のやり方にならって毎年行われています。
また、毎年10月初旬に開催されている釧路市阿寒のまりも祭りなどは、
祭りそのものは戦後に新しく創造されたものですが、儀式の進め方などは、
伝統的な信仰やしきたりを踏まえるかたちで行われています。
これらの行事のうち一般に公開されているものについては、
財団法人アイヌ文化振興・研究推進機構のホームページなどから検索することができます。
また、主な行事の開催時期については、
社団法人北海道アイヌ協会のホームページにも掲載されています。
これからの秋の季節、機会があればこれらの儀式に訪れてみてください。
儀式の中で行われるお祈りや、歌・踊りなどを実際に見ていただければ、
図書やテレビなどを通して見るのとは、
また違った体験になるのではないかと思います。
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