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こんにちは。北海道立アイヌ民族文化研究センターです。
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10月も半ばとなり、秋も深まってきました。秋と言えば食欲の秋ですね!
今回は、アイヌの伝統的な食文化について紹介します。
この時期、北海道のあちこちの川で、
サケが遡上してきたという便りを聞きますので、
アイヌの伝統的な料理の中でも、特に、サケを使ったものを紹介します。
アイヌの伝統的な暮らしでは、山や海、川で狩や漁をしたり、
山菜や海藻、貝類をとったり、穀物を作ったりして食糧を得ていました。
昔のアイヌの暮らしについては、しばしば「狩猟採集民族」といった言い方で、
もっぱら狩猟や漁撈(ぎょろう)によって生活していたイメージが持たれることが多いようですが、
地域による違いはあるものの、
農耕や交易も生活の中で一定の比重を占めていたことが明らかにされつつあります。
魚の中でも、サケは、昔から主要な食料の一つでした。
身はもちろん、白子や筋子、ヒレまでも余すところなく利用しました。
アイヌのサケを使った昔ながらの料理を少しだけ紹介します。
アイヌの伝統料理は、日本の他の伝統料理と同様に、同じような料理でも、
地域によって、材料も、作り方も、アイヌ語での呼び方も異なります。
また、時代によって、材料も調理法も変化しています。
ここでは、
十勝の幕別町の安東ウメ子さん(1932~2004年)に教えていただいたものを紹介します。
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○チェプオハウ
サケの切り身の入った汁ものです。ジャガイモ、ニンジン、玉ネギ、長ネギ、
大根などの野菜を適当な大きさに切って鍋に入れ、
野菜が少し煮えたところでサケの切り身を入れます。
具が煮えたら塩で味をととのえ、長ネギをを仕上げに入れます。
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○チポロシト
イクラをまぶした団子です。ジャガイモを塩ゆでし、ゆであがったら、
完全に冷ましてからデンプンを入れてこね、食べやすい形の団子にします。
イクラはつぶして皿にとっておきます。
ジャガイモの団子をうっすらと焦げ目がつくまで焼いて、
焼き上がりにつぶしたイクラをたっぷりとまぶして出来上がりです。
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○チタタプ
サケの背ヒレ、尾ビレ、腹ビレ、氷頭(ひず)を用意し、
塩でぬめりをとっておきます。
これらを包丁でトントントン…と細かくなるまで刻んでいきます。
そこに白子と塩を少量と長ネギ(昔はギョウジャニンニクを使ったのだそうです)を加え、
さらに刻みます。
地域によって材料や作り方に違いはありますが、
どれも美味しいですよ。特にチタタプは、食べたことのある方々に伺うと、
そのままでも美味しいけど、お酒のつまみとしてとても合うとか。
当研究センターが編集・発行している
『アイヌ文化紹介小冊子 ポン カンピソシ 第3巻 イぺ(食べる)』では、
これらの料理をカラー写真入で掲載しています。
そのほか、アイヌの食文化や伝統的な料理を学ぶための図書なども紹介しています。
また、近年は、釧路市阿寒湖のアイヌコタンや白老町のアイヌ民族博物館などで、
アイヌの伝統的な料理を食べることができたり、
体験学習で料理について学ぶこともできるようになってきています。
詳しくはそれぞれの機関にお問い合わせください。
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