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こんにちは! 北海道立アイヌ民族文化研究センターです。
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前回のコラムで、鳥のさえずりの話をしました。北海道には、豊かな自然の中で野鳥を観察できる場所が、各地にあります。根室市にある風蓮(ふうれん)湖周辺も、たくさんの野鳥を観察できるところとして有名です。
この「風蓮湖」も、アイヌ語に由来する地名です。
アイヌ語地名研究者の山田秀三(やまだ ひでぞう)氏によれば、湖の昔の呼び名はただトー(to:沼、湖)で、風蓮川が注ぐ湖なので、風蓮湖と呼ばれるようになったと言われています。
風蓮川は、昔の文献では「フーレペッ」などと記録されています。「ペッ」は、川や沢を意味するアイヌ語です。そして「フーレ」は、「赤い」を意味するアイヌ語 「フレ」(hure)に由来します。アクセントが「フ」のほうにあって、こちらを強く発音するので、「フーレ」のように聞こえることも多いようです。鉱山から流れてくる川や低湿地を流れる川で、川の水が赤や茶色になっていたり、川の石が赤く染まっている川などに、この呼び名が付くことがあったようです。
「赤い」を意味する「フレ(フーレ)」に関係する地名は、北海道のあちこちにあります。
・「風連町」(上川地方 名寄(なよろ)市):
町内を流れる「風連別川」に由来するとされています。同じ「風連別川」という名前の川は、留萌地方の初山別(しょさんべつ)村にもあります。どちらも、「フレ・ペッ(赤い・川)」に由来するとされています。
・「振内(ふれない)」(日高地方 平取(びらとり)町):
「フレ・ナイ(赤い・川)」に由来すると言われています。
・「オロフレ峠」(胆振地方 登別温泉から壮瞥(そうべつ)町に出る峠):
この峠のある山を流れている川の呼び名である「オロ・フレ・ペッ その中(が)・赤い・川」に由来すると言われています。
では他の色は?と関心を持たれた方もいると思います。
例えば、アイヌ語で「黒い、暗い」を意味する語に「クンネ」があります。北見地方の「訓子府(くんねっぷ)」や、渡島地方の「久根別(くねべつ)川」などは、アイヌ語 「クンネ」に関係する地名だと言われています。
明日、6月29日(土)から、根室市図書館を会場に、当研究センターが所蔵する、アイヌ語地名研究者・山田秀三氏の地名調査資料を展示する企画展「アイヌ語地名を歩く -山田秀三の地名研究から- 2013・夏 根室」が始まります。風蓮湖のほか、「オンネトー」「納沙布(のさっぷ)岬」など根室地方の地名を通して、アイヌ語地名の世界を紹介します。ぜひご覧ください!
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