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こんにちは。 北海道立アイヌ民族文化研究センターです。
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以前に、このコラムでアイヌ語の方言について紹介しました(8月23日配信)。
この夏、当研究センターは根室市でアイヌ語地名の資料展を開催しました。その会場でも、「地名にも、方言のようなもの、例えば「同じ地形でも北海道の東と西で呼び方が違う」といったことは、ありませんか?」というご質問をいただきました。
アイヌ語地名には、まだまだ、よくわかっていないことが多く、あまりはっきりしたことは言えないようです。ただ、アイヌ語地名研究の第一人者・山田秀三(やまだ ひでぞう)氏は、北海道の各地の地名を見てまわる中で、これは北海道の中でも地域による違いがあるのではないか、という例をいくつか挙げています。
○川の名に見られる「ホロ」
川や沢を意味する地名のアイヌ語には、多く「ペッ」や「ナイ」が用いられます。
このほか、山田氏によれば、川の名前に「ホロ(horo)」が付いている例があり、それらはおおよそ北海道の東部に見られる、とされています。
・幌呂(ほろろ)川:釧路地方(鶴居(つるい)村)
「ホロ・ル」(川の・道)に由来するとされています。
・当幌(とうほろ)川:根室地方(標津(しべつ)町・中標津町・別海町)
「トー・ホロ」(沼・川)に由来するとされています。
※「ホロ」は、アイヌ語の単語として見ると、「水の中」などの意味を持つ語だと考えられます。
○温泉の名前に見られる「セセキ」
温泉をあらわす地名は、北海道の西部や南部では、日本語から入ってきたと考えられる「ユ」や「クスリ」などが付いている例が多く見られます。例えば岩内(いわない)町の雷電(らいでん)温泉の近くにある「湯内(ゆうない)川」」は、ユ・ナイ(温泉・川)に由来すると言われています。
このほかに、知床半島の羅臼(らうす)町にある瀬石(せせき)温泉のように、セセク(sesek:熱い、熱くなる)に由来すると考えられる地名があります。山田氏によれば、これは、おおよそ北海道の東部や北部に見られる、とされています。
北海道の地名は、多くがアイヌ語に由来しています。北海道を旅行されるときがあったら、また、北海道各地からのニュースに触れるときがあったら、あらためて、それぞれの地名に気にとめてみてはいかがでしょうか。
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