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こんにちは!北海道立アイヌ民族文化研究センターです。
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4月からまた1年間、このコラムを続けさせていただくことになりました。
初心にかえって、アイヌ文化に関する情報をわかりやすく発信していきたいと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。
よく言われることですが、「札幌」「旭川」など、北海道の地名の多くは、何らかの形でアイヌ語に由来しています。
「では、どれくらいがアイヌ語由来ですか?」という質問をいただくことがあります。最近ときどき見かける説明で「北海道の地名の8割はアイヌ語地名です」と書かれているものもあります。実際のところはどうでしょうか。
地名には、市町村の名前や字(あざ)の名前など、いろいろなものがあります。地図には載っていないが、地元ではよく知られている地名などもたくさんありますから「北海道の地名」が全部で幾つあるかを数えるのは難しいでしょう。したがって、「北海道の地名の何割」といった言い方には、やや無理があるようです。
現在、北海道にある179市町村の名前は、おおよそ80%ほどが何らかの形でアイヌ語に由来しています。上記の「8割」という言い方は、このあたりの数字だけが独り歩きしてしまったのかもしれません。
「何らかの形で」と、少しまわりくどい言い方をしたのは「登別」(のぼりべつ/ヌプル・ペッ=水の色の濃い・川 に由来するとされています)の様に、由来するとされるアイヌ語の呼び名と、現在の市町村の名前とが、比較的ストレートにつながっている場合もありますが、その他にもさまざまな例が見られるからです。
「稚内」(わっかない)は、市街地を流れる川の一つである「ヤムワッカナイ」(ヤム・ワッカ・ナイ=冷たい・水の・川)に由来するとされています。この場合は、アイヌ語の呼び名の一部が略された形になっています。
空知地方の「砂川」は、市内を流れる「パンケウタシナイ川」「ペンケウタシナイ川」の「ウタシナイ」に由来しています。この「ウタシナイ」はアイヌ語のオタ・ウシ・ナイ(砂浜が・ついている・川)だとされており、その意味をとって「砂川」と名付けられたと言われています。つまり、アイヌ語の地名を日本語に意訳したものが現在の名になっているのです。
砂川のすぐ北にある「滝川」や渡島(おしま)地方の「森」なども、この仲間だと言うことができます。
このほか、ひと目見ただけではアイヌ語に由来するとは気付きにくい地名も、たくさんあります。次回はそういった地名についてお話しします。
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