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こんにちは! 北海道立アイヌ民族文化研究センターです。
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前回のこのコラムで、アイヌの儀式「カムイノミ」について紹介しました。
今回は、一般に公開されている伝統儀式「カムイノミ」の行事についてご案内します。
カムイノミとは、「カムイ(神)」「ノミ(に祈る)」、すなわち人々が生活する上で必要なことを神(カムイ)に祈る儀式のことです。
明治以降、北海道の開拓が進む中で、アイヌの人々に対するサケの捕獲が厳しく制約されるなど、アイヌ文化に対する否定的な風潮が強まる時代が続きました。そのため、多くの地域において、昔のしきたりや作法に詳しい古老が少なくなり、カムイノミを始めとする地域の儀式が、長年にわたり行われなくなりました。
しかし、1980年代以降になって、アイヌの人々自身が自分たちの文化を学びなおすとともに、ひろくアイヌ文化の存在を発信することを目的として、それぞれの地域で昔行われていたカムイノミの儀式を復活させたり、新たに創られたりするようになります。
例えば、サケの豊漁を祈願する儀式で、マレクと呼ばれる銛(もり)や、ラオマプと呼ばれる梁(やな)などの昔の漁具を復元し、これらを使ってサケを捕獲する様子を披露する例が見られるのは、このような背景があってのことです。
毎年、9月初めから10月にかけての時期は、道内各地で、一般にも広く公開されるアイヌの伝統儀式が多数開催されます。
札幌とその近隣だけでも、9月7日に千歳市、9月14日に札幌市や苫小牧市、20日には白老(しらおい)町で、サケの豊漁を祈願する儀式などが行われます。また、毎年9月23日に新ひだか町静内(しずない)で開催される、江戸時代のアイヌの英傑シャクシャインの法要祭、10月には釧路市阿寒(あかん)湖畔で開催される「まりも祭り」などの行事もあります。
これらの儀式の開催日時・場所などの情報は、(公財)アイヌ文化振興・研究推進機構のホームページの「行事案内」などでお知らせしています。
この秋、北海道に暮らしている皆さんも、北海道を訪れようと考えている皆さんも、機会を見つけて、これらの儀式を見てアイヌ文化に触れていただければと思います。
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