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こんにちは! 北海道立アイヌ民族文化研究センターです。
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このコラムでは、この秋、アイヌの儀式「カムイノミ」について紹介しています。
カムイノミとは、「カムイ(神)」「ノミ(~に祈る)」、すなわち人々が生活する上で必要なさまざまなことを神(カムイ)に祈る儀式のことです。
今回は、カムイノミに欠かせない大切なものの一つである「イナウ」と呼ばれる木幣(もくへい)について紹介します。
▼「イナウ」の写真は、こちらをご覧ください。
http://www.ainu-museum.or.jp/nyumon/gireigu/inaw.html
※一般財団法人アイヌ民族博物館のホームページより「イナウ」のページ
イナウには、北海道では一般にヤナギやミズキ、キハダなどが使われます。これらの木を切って皮をはぎ、外側を削って房のようにしたものが、儀式のときなどには比較的よく見られますが、このほかにも、さまざまな形状のものがあります。その用途や役割にも、カムイへの捧げものであったり、カムイへ人間の祈り言葉を伝える役目を果たしてくれたり、魔ものを払うときに使ったり、「家を守るカムイ」のようにイナウそのものがカムイとして祭られたりと、いろいろなものがあります。
儀式を行うときには、その一週間ほど前から、カムイへ捧げるものの準備を始めます。男性の主な役割は、カムイや先祖に捧げるためのイナウを用意することです。イナウにする木には、真っ直ぐに伸びた手頃な太さで、小枝の少ないものを選びます。木を切るときは、木に対して「カムイノミのために使うイナウとして木をいただきますのでお許しください」などと祈ります。切ってきた木は適度に乾燥させておき、儀式の当日、男たちがマキリ(小刀)を使って木を削り、イナウを作っていくのです。
一方、女性は、儀式で使うお酒造りを進めていきます。その際にも、造りはじめるときに、良い酒が出来るようカムイに祈ります。このような、それぞれが心を込めた準備があって、いよいよ儀式のときを迎えるのです。
一般に公開されている儀式は、たいてい、その当日のお祈りのところが公開されているのですが、実際には、その前からのいろいろな準備があることを心に留めていただければと思います。
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