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今回から、しばらく、アイヌ語に由来する地名について紹介していきます。
突然ですが、タイトルの「可笑内川」は、読めましたか?
北海道乙部(おとべ)町の元和(げんな)と呼ばれる地域に流れている河川名です。元和には、道の駅もあるので、町外の方でも訪れたことのある方がたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。
「可笑内」と同じ読み方で、似た文字の地名「笑内」が秋田県北秋田市の阿仁(あに)にあります。鉄道の駅「笑内駅」もあります。
「可笑内」と「笑内」。どちらも「おかしない」と読みます。
アイヌ語地名研究者の故・山田秀三氏によれば「オ カシ ナイ」(川尻に・仮小屋(がある)・川」に由来すると言われています。ここでいう川尻とは、川が海に注ぐ河口のところや、大きな川に合流するあたりのことをいいます。仮小屋とは、狩や漁などのときに泊まるために仮にこしらえる小屋のことをいいます。
ここまで読んでいただければ、登別市にある「岡志別川」を、迷いなく読めるのではないかと思います。同じく山田秀三氏によれば、ここでの「別」はアイヌ語で川を意味する「ペッ」に由来しており「オ カシ ペッ」(川尻に・仮小屋(がある)・川)に由来すると言われています。(「ナイ」は「沢」や「川」、ペッも「川」を意味しています。)
「笑内」と「岡志別」。漢字だけ見ていると全然違うように見える地名は、由来しているアイヌ語に立ち返って見れば、同型・同類の地名だとわかるのです。
現在、登別市教育委員会との共催により、登別市郷土資料館にて、特別展「山田秀三とアイヌ語地名」を開催しています(注:平成27年1月25日をもって終了しています)。この「岡志別」をはじめ、登別市内のアイヌ語地名を、山田秀三氏による書き込みがたくさん入った地形図などを使って紹介しています。会場では展示内容を紹介したパンフレットも配布しています。
ぜひお越しください!
次回は、川尻をあらわす「オ」の付く地名について、紹介します。
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