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HOME > 調査研究 > アイヌ音楽の録音・録画のあゆみ

学校と地域の歴史から

 19世紀末から20世紀初頭にかけての録音・録画の技術の発明と展開が、さまざまな文化の研究に対して与えた影響は、大きなものでした。たとえば録音に関していえば、こんにち民族音楽学と呼ばれている学問は、ある意味では録音機器の誕生・成長とともに飛躍的に展開してきました。異文化の歌や踊りを研究するためにはその地へ赴いて直に聴くしかなかったことに比べると、音そのものを記録し、自国に持ち運んで繰り返し視聴できる技術は、音楽の比較研究の方法を変えたといっても過言ではありません。
 しかし、初期の録音機や録音メディア(蝋管、蝋やアルマイトなどのレコード盤)は、いずれも大きくて重く、調査のために持ち運ぶとなれば、それ相応の人手と運搬手段とが必要でした。また高価なため誰でも手にできるというものでもありませんでした。さらに、当時の記録メディアは容量(録音できる総時間)も短いため、調査の最初から最後まで録音するのではなく、聴き取り調査の後に曲目を厳選して録音する、という方法をとらざるをえませんでした。
 そのような時代にも、交通手段も現在より格段に不便で多くの日数を要する中、重い機器類を携えて自らその地へ赴いて採録を行った研究者らも少なくありません。音や動きそのものを記録することが研究はもちろん対象とする芸能の保存(伝承)にとっても不可欠であると考え、いちはやく実行した先人の軌跡は、今日までの研究の発展につながっています。

 この連載では、アイヌの伝統的な芸能(音楽・舞踊)の録音・録画史をさかのぼって、貴重な記録資料を残した人物や事業を紹介するとともに、それらの資料の視聴方法や関連資料、関連情報などをお伝えしていきます。
(研究職員 甲地利恵)


第1回 音楽学者・田辺尚雄氏による樺太アイヌ音楽の録音(1)

第2回 音楽学者・田辺尚雄氏による樺太アイヌ音楽の録音(2)




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