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研究紀要

 研究紀要第11号 要旨


【論文】 「申渡」のアイヌ語訳文に関する一考察 (佐藤知己)

【論文】 アイヌ語十勝方言の人称接辞 'a-, 'an- の出現条件と例外的事例について (澤井春美)

【研究ノート】 近世北海道におけるアットゥ着用の様相 (本田優子)

【調査報告】 ネコに殺されそうになった友人を助けた男の話 (大谷洋一)

【資料紹介】 アイヌ文献目録 2003 (アイヌ文献目録編集会)

【資料紹介】 豊浦町所蔵のアイヌ資料 (福田茂夫、高橋 理、古原敏弘)

【講演記録】 山田秀三と知里真志保の地名調査 (萩中美枝)

【講演記録】 山田秀三のアイヌ語地名研究 (切替英雄)





〔各論文の要旨〕


【論文】
 「申渡」のアイヌ語訳文に関する一考察
 (佐藤知己)

〔要旨〕

 江戸時代、通詞が翻訳した「申渡」のアイヌ語文の資料がいくつか残っている。原文の日本語が基本的に同一である異なる文書を選び比較検討した結果、主に次の諸点が明らかとなった。
 1. これらの文書の多くは今日では限られた方言でしか報告がない連声規則を示している。
 2. これらの文書の中には、今日の資料と微妙に異なる語形を示すものがあり、アイヌ語史を考える上で貴重なデータを含んでいる。
 3. これらの文書の多くは、今日では限られた地方でしか報告がない人称接辞の交替に関わる情報を含んでいる。
以上、この種の文書がアイヌ語の歴史を考える上で有用な資料であり得ることを具体例に基づいて示した。

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【論文】
 アイヌ語十勝方言の人称接辞 'a-, 'an- の出現条件と例外的事例について (澤井春美)

〔要旨〕

 アイヌ語の人称接辞のうち、さまざまな場面で一人称を表わす ’a- 及び ’an- とアクセントの関係について考察しました。概略的にいって ’a- は北海道の南西部で用いられ、それ以外の広い地域では ‘an- が用いられます(佐藤:1995)が、十勝方言と静内方言ではこの二つの形が用いられることが知られています。

 本稿では、十勝方言についての切替(1996)の重要な指摘、すなわち、この二つの人称接辞は後続する語幹のアクセント核の位置によって規則的に交替して用いられるという点を再論しました。筆者の大量の資料を用いて切替説を検証したところ、大きな異論はありませんでしたが、例外的事例として ‘utari という語を取りあげました。

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【研究ノート】
 近世北海道におけるアットゥ着用の様相 (本田優子)

〔要旨〕

 アットゥとは、植物の内皮から作られるアイヌの織物および衣服のことです。本稿では、アットゥが「日常着」「晴れ着」として、近世のアイヌ社会の中でどのような位置を占めてきたのかという、歴史的変遷を跡付ける作業を行いました。

 その結果、①アットゥは、近世期を通して一貫して「日常着」として重要な地位を占めていたこと、②「対和人儀礼」では外来衣があくまでも基本であり、アットゥは副次的な衣服に過ぎませんでしたが、たとえば「熊送り儀礼」を描いた絵画には、アットゥは基本的な儀礼装束として描かれており、それは当時の現実を反映したものではないかということ、③近世の初めには、アイヌによって様々な絹や木綿の布が切伏せられた、絹や木綿の自製衣が相当量存在したのではないかと考えられること、などの結論を導きました。

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【調査報告】
 ネコに殺されそうになった友人を助けた男の話 (大谷洋一)

〔要旨〕

 沙流郡平取町出身の上田トシさん(1912年生まれ)が姉から伝承して語ったウウェペケという口承文芸1編のテキストです。アイヌ語原文はカタカナとローマ字で記し、その右側に日本語訳を付しています。

 物語の内容は、イシカリの奥に住む男が二匹の魚の会話を聞くことができたおかげで、飼い猫に殺されかけたイシカリ河口に住む友人の命を救ったという体験談です。


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【資料紹介】
 アイヌ文献目録 2003 (アイヌ文献目録編集会)

〔要旨〕

 北2003年の一年間に図書・雑誌(新聞は除きます)のかたちで発行されたアイヌ関係の文献及びそれらに収録された論文や主な記事について、表題や編著者名、収録書名などを目録にまとめたものです。日本国内で発行された日本語・アイヌ語文献を対象に、約900件を収録しています。

 研究センターが果たすべき役割の一つである、アイヌ文化に関する学術情報の収集・整理と提供という機能の一部を担いたいと考え、今年度から編集を開始したものです。

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【資料紹介】
 豊浦町所蔵のアイヌ資料 (福田茂夫、高橋 理、古原敏弘)

〔要旨〕

 豊浦町教育委員会所蔵のアイヌ資料についての紹介したものです。資料は、豊浦町内の1軒の家に伝わっていたもので、イナウ、イクパスイや冠(サパウンペ)、熊の爪、キツネの頭骨や行器、鉢などの漆器といったアイヌ民具として知られているものが数点づつある他、セットになる漆器が多数含まれています。道南地域のバックデータのある資料として、他地域との比較や、漆器の流通経路などを研究する上での素材となるものです。

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【講演記録】
 山田秀三と知里真志保の地名調査 (萩中美枝)

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【講演記録】
 山田秀三のアイヌ語地名研究 (切替英雄)

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