研究紀要第14号 要旨
【論文】 伊達地方のアイヌ語方言の文法的特徴 (佐藤知己)
【論文】 アイヌ語十勝方言の接続助詞wa,tek,ahinneについて (澤井春美)
【論文】 増補・虚構としての〈あいぬの風俗〉 (竹ヶ原幸朗)
【資料紹介】 アイヌ文献目録 2006 (アイヌ文献目録編集会)
〔各論文の要旨〕
【論文】 伊達地方のアイヌ語方言の文法的特徴(佐藤知己)
〔要旨〕
旧虻田町(現洞爺湖町内)の故遠島タネランケ氏のアイヌ語音声資料の中から、祈りのテキスト二編、有珠山の噴火を描いた口承文芸テキスト一編、外国船の来航を描いた口承文芸テキスト二編を文字に直し、訳注を付し、その言語的特徴についても簡単に述べた。その結果、半母音挿入に関して幌別方言と同様な特徴を示す可能性のあること、特異なアスペクト形式を有することなどが明らかとなった。
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【論文】 アイヌ語十勝方言の接続助詞wa,tek,ahinneについて(澤井春美)
〔要旨〕
アイヌ語十勝方言の接続助詞wa,tek,ahinneについて(澤井春美) アイヌ語十勝方言の三つの接続助詞wa、tek、ahinne を用例に基づいて分析した。その結果、ahinne は wa や tek と比較すると機能的に有標である可能性があること、ahinne は過去の事象の描写に必ずしも限られないこと、ahinne は文頭に立ち得るので他の形式に比べ独立性が高いとみられることを主に指摘した。
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【論文】 増補・虚構としての〈あいぬの風俗〉(竹ヶ原幸朗)
〔要旨〕
教科書におけるアイヌ民族に関する記述の内容は、社会のアイヌ認識の形成に重要な役割を果たしています。本稿は、戦前の教科書におけるアイヌを主題とした教材の歴史を概観した上で、それらの中でも影響が大きかったと考えられる、第二期国定国語教科書『尋常小学読本』巻10に掲載された「あいぬの風俗」という教材に焦点を当て、この教材の内容と特色、この教材が描き出したアイヌ民族イメージの特徴、当時の教員によるこの教材に対する意見、とりわけアイヌ教員の意見の検討などを通して、教材の問題点や歴史的な意味などを明らかにしました。 なお、本稿は、『教育学研究』第61巻第3号(日本教育学会、1994年9月)に掲載された、「虚構としての〈あいぬの風俗〉─国定国語教科書のアイヌ認識─」に、その後の地方教育会雑誌の調査等をもとに、大幅な加筆・補足を行ったものです。
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【資料紹介】 アイヌ文献目録 2006(アイヌ文献目録編集会)
〔要旨〕
『研究紀要』第11~13号に掲載した「アイヌ文献目録2003」~「同2005」の続きです。 2006年の一年間に、図書・雑誌(新聞は除きます)のかたちで発行されたアイヌ関係の文献及びそれらに収録された論文や主な記事についての目録です。日本国内で発行された日本語・アイヌ語文献約1000件について、表題、編著者名、収録書名などを目録にまとめています。また、2005年の補遺も併せて掲載しています。
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