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研究紀要

 研究紀要第17号 要旨


【論文】 アイヌ語千歳方言における推量の助動詞 nankor の意味について(佐藤知己)

【調査報告】 和人の散文説話―継母から殺されかけた姉を救った妹―(大谷洋一)

【研究ノート】 アイヌの魚皮衣―ロシアの博物館所蔵のアイヌコレクションについて―(萩原眞子、古原敏弘)

【事業報告】 北海道立アイヌ民族文化研究センターにおける採録資料の公開について(北海道立アイヌ民族文化研究センター研究課)



〔各論文の要旨〕


【論文】
 アイヌ語千歳方言における推量の助動詞 nankor の意味について
(佐藤知己)

〔要旨〕

 nankor は「だろう」同様、過去を指しにくい一方、話者の経験には使用できる。これは「推量」の他に「確信」の機能を仮定することによって説明できる。「推量」、「確信」はともに思考、想像を基盤とするが事態成立を不確実視するか確実視するかで対立する。話者の経験の場合、通常の推量の解釈は当然放棄されるため、残りの「確信」の解釈が選択されると考えられる。

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【調査報告】
 和人の散文説話―継母から殺されかけた姉を救った妹―
(大谷洋一)

〔要旨〕

 沙流郡平取町出身の上田トシさん(1912年生まれ)が語ったシサ ウウェペケ(和人の散文説話)という口承文芸1編のテキストです。アイヌ語原文はカタカナとローマ字で記し、その右側に日本語訳を記しています。
 この物語は「お銀小銀」「お月お星」などという名前で日本では広く知られており、和人からアイヌに伝えられた継子いじめの話です。本稿では、このジャンルの口承文芸の先行研究についてアイヌ語原文を素材として再検討を行い、アイヌヘの伝承によって生じる変容について考察しています。

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【研究ノート】
 アイヌの魚皮衣―ロシアの博物館所蔵のアイヌコレクションについて―
(萩原眞子、古原敏弘)

〔要旨〕

 1995年から2001年にかけてロシア共和国のペテルブルグ、ウラジオストック、ハバロフスク、ユジノサハリンスクの6博物館で行った調査で確認したアイヌの魚皮衣17点(1点は、ドイツのライプツィッヒの博物館に譲渡され収蔵されている)について、個々の資料の説明と、アイヌの魚皮衣の特徴やアイヌの衣文化のなでの位置づけなどの課題を取り上げたものです。

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【事業報告】
 北海道立アイヌ民族文化研究センターにおける採録資料の公開について
(北海道立アイヌ民族文化研究センター研究課)

〔要旨〕

 当研究センターが進めてきた採録資料の公開に向けた取り組みについての報告です。
 採録資料の中でも音声・映像資料(録音テープや録画フィルム)を中心に、アイヌ語アイヌ文化に関する採録資料の重要性と整理・公開利用に関する現状と課題、当研究センターの設置目的等を踏まえつつ、当研究センターにおける採録資料の公開を開始するまでの取り組みや、現在行っている公開までの手続きの考え方、実際の作業手順などを報告したものです。

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