研究紀要第13号 要旨
【論文】再びアイヌ語千歳方言のアスペクトについて-特に完了を表す形式をめぐって- (佐藤知己)
【研究ノート】樹皮を剥ぎ残すという言説をめぐって-更科源藏の記録に基づく一考察- (本田優子)
【資料紹介】伊達市噴火湾文化研究所のジョン・バチラー関係資料 2 (黒田格男、大島直行、古原敏弘、小川正人)
【資料紹介】北海道立図書館所蔵マイクロフィルム「金田一京助採録ユーカラ・ノート」の細目次 (林 誠)
【資料紹介】 アイヌ文献目録 2005 (アイヌ文献目録編集会)
〔各論文の要旨〕
【論文】 再びアイヌ語千歳方言のアスペクトについて-特に完了を表す形式をめぐって- (佐藤知己)
〔要旨〕
本稿では、主にアイヌ語の「過去・完了の助動詞 a」について考察した。その結果、この形式は「動作パーフェクト」を表すと言えるが、さらに詳しく言うと、「動作パーフェクト」と言われるもののうち、「効力」を除いた「過程」の意味を主に表すのではないか、という点を新たに指摘した。また、これまで注目されて来なかった現象として、否定の形式との関係に着目し、否定の形式が助動詞 a の前に立ちにくい傾向があることを明らかにした。また、このことから、助動詞 a は、「過去」という時制的な意味を表すものというよりはむしろ、出来事と現時点との関係を問題にする「完了」に傾斜した形式と言えるのではないか、という仮説を述べた。
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【研究ノート】 樹皮を剥ぎ残すという言説をめぐって-更科源藏の記録に基づく一考察- (本田優子)
〔要旨〕
アットゥシ(樹皮衣)は、アイヌ文化における伝統的衣服の一つです。素材である樹皮を採取する際には、"皮を剥ぎ残すとともに、残した皮が剥がれないように皮の一部を帯として巻く"といわれることが多く、また、"これによって樹木が再生し資源の枯渇を防止してきたのだ"と説明されることが多いようです。本稿では、このような言説の形成に深く関わったと考えられる更科源藏の記述について、彼の調査記録ノート『コタン探訪帳』に基づいて考察し、現在流布している理解が、必ずしも聴き取り記録に合致したものではないことを論じました。
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【資料紹介】 伊達市噴火湾文化研究所所蔵のジョン・バチラー関係資料 2 (黒田格男、大島直行、古原敏弘、小川正人)
〔要旨〕
伊達市噴火湾文化研究所が所蔵するジョン・バチラー(1854~1944)及びその養女・バチラー八重子(1884~1962)の関係資料についての資料紹介で、第12号に掲載した「1」から続くものです。 今回は、図書資料(和書、洋書)と文書写真資料について紹介しています。
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【資料紹介】 北海道立図書館所蔵マイクロフィルム「金田一京助採録ユーカラ・ノート」の細目次 (林 誠)
〔要旨〕
アイヌ語アイヌ文化研究に大きな足跡を遺したことで知られる金田一京助(1882~1971)による、北海道、サハリン(樺太)各地の伝承者から聞き取りした内容を記録したノートが、マイクロフィルム化されて北海道立図書館の北方資料室に所蔵されています。 今回の「細目次」は、この貴重なノートをこれからのアイヌ文化研究により活用していくための条件整備の一環として作成したものです。具体的には、このノートについて、口承文芸や聞き取りの話題ごとに細かな目次を作成し、マイクロフィルム上でのおおよその位置(コマ数)を示すととともに、ノートから読み取れる範囲で、口承文芸のジャンルや語り手、採録地などの情報を記しています。
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【資料紹介】 アイヌ文献目録 2005 (アイヌ文献目録編集会)
〔要旨〕
『研究紀要』第11、12号に掲載した「アイヌ文献目録2003」「 同 2004」の続きです。 2005年の一年間に、図書・雑誌(新聞は除きます)のかたちで発行されたアイヌ関係の文献及びそれらに収録された論文や主な記事についての目録です。日本国内で発行された日本語・アイヌ語文献約1000件について、表題、編著者名、収録書名などを目録にまとめています。また、2004年の補遺も併せて掲載しています。
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